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- 経験者目線のギャンブル依存対策~何が問題なのか?何が必要なのか?
2016.12.12
ギャンブル依存症対策に、民間施設の位置づけを明確に。
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。ワンネスグループの三宅です。
先日、「臨床精神医学」という学術誌に拙稿を掲載していただきました。
依頼をいただいたときは、ワンネスグループの活動はもちろん、セレニティパークジャパンというギャンブル依存症回復支援施設をスタッフ全員で育ててきたことが認めてもらえていると感じ、とても嬉しく思いました。
タイトルは、『民間施設における当事者主体のギャンブル障害回復支援』。「医療」、「自助グループ」とは別の依存症回復の資源として、「民間施設」を取り上げていただいたことは、これからのギャンブル依存症対策を考えるうえで本当に意味があることだと思います。というのも、回復資源を語るうえで、一般的には最初に医療が来るわけですが、次の自助グループという括りのなかで民間施設の存在が語られるケースが多いからです。
依存症当事者の感覚としては、自助グループ(同じ依存で悩んでいる当事者同士が、自発的に結びついたグループで、ミーティングを主体として活動している)と、民間施設は別個のものだという認識があるのですが、当事者以外では精神保健に関する仕事をされている方のなかにも、どちらも一緒であるという捉え方をされていると感じることがあります。
民間施設運営者のほとんどが依存症当事者(回復者)であるからかもしれませんが、施設の現場で行われていることは、相談や生活支援、プログラムの提供など多岐にわたっています。どちらが良い悪いという話ではなく、自助グループでは普通しないことを民間施設で行っているということを考えたとき、二つを切り離して語る必要があると考えます。
さらに民間施設は、依存症回復支援の経験や実績という点で、医療とはまた別の、重要な社会資源であると考えています。例えば私たちワンネスグループは、国内外で効果が高いとされている心理プログラムやカウンセリングスキルを取り入れるためにスタッフがトレーニングを重ね、当事者感覚と専門職としての技術の両輪をもって日夜利用者メンバーと向きあっています。他の民間施設の職員の皆さんも、私ごときが言うまでもありませんが、ご自身の仕事に誇りをもち、スキルに磨きをかけ、日々活動されています。
今回の原稿は、ひとりでも多くの方・・・、とくに依存症者の治療回復に携わっている方や依存症対策を考えていこうとされる方に民間施設について知っていただきたいという思いを込めて書きました。事例紹介だけではなく施設プログラムの効果について数値化できないか、といったことをはじめとして研究考察すべき課題が多くあります。
まずは今回のような文章を通して、また、実際にお越しいただくことを通して、施設のありようを知っていただけたら、そしてギャンブル依存症対策のなかで「民間施設」を明確に位置づけていただけたらと願っています。
今号の臨床精神医学では、ギャンブル依存症について諸先生がたが様々な角度から原稿を執筆されております。大変に勉強になる内容ですので、ぜひお読み頂ければと思います。
依存症の施設とはいったい何をしているのか?という疑問は、ギャンブル依存症当事者のかたやご家族のかたのなかにもありますし、IR(カジノを含む統合型リゾート)推進法案の審議にからみ、記者の方からのインタビューをお受けする中で何度も聞かれることです。ワンネスグループでは、「知ることは、防ぐこと。知ることは、解決への一歩」というキャッチフレーズを用いて、全国各地で『依存症を知るセミナー』を開催しています。
今週の16日(金)の大阪を皮切りに、名古屋、東京、仙台、札幌、福岡、沖縄の7会場で『ギャンブル依存症を知る緊急セミナー』を企画しました。
下記URLから緊急セミナーの開催概要がごらんいただけます。
http://www.oneness-g.com/press_conf/
賛否がぶつかりあっている状況ではありますが、ギャンブル依存症を知る、あるいは依存症問題の解決策を本腰で考えるという点に関しては今が最大の機会だと思います。緊急セミナーでは、依存症についての基礎的な理解や、回復についての施設の役割などを当事者の体験談(ワンネスグループ各施設スタッフでギャンブル依存からの回復を続ける皆さんによる)を通してお伝えします。さらにはこのセミナーを、IRについて、また実際にカジノがあるアメリカやシンガポールではどのような対策がとられているかについてを、知る場にすることができればと考えています。
私は3年前から、アメリカやシンガポールの現地へ足を運び、見たり聞いたり参加した中で様々な思いを抱きました。かつての私は、IRやカジノの何たるかを知らず、なんだか得体のしれない黒船のようなものが来るのだろう・・・くらいにしか思っていませんでした。私がこれまで得てきた知識や経験の外の世界にあった、新しい発見。これまでの自身の歩みを尊重しながら、新しい発見を取り込んで、生き方を発展させていく。
これは、私がギャンブルやアルコール依存から脱却し、今でも生き方が変化している、そのプロセスそのものです。
IR推進法案については、きょう参議院内閣委員会で参考人質疑が行われると報道されています。ワンネスグループとしては、「知る」機会の重要性を訴えるべく、年末に向けて、民間施設だからこそできる行動を続けていきます。
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★ギャンブル依存症を知る緊急セミナー★
※各会場とも 入場無料/事前予約不要です。
【大阪・大阪市】
■日時:12月16日(金)14:00~16:00
■会場:ドーンセンター中会議室2(大阪市中央区大手前1-3-49)
【愛知・名古屋市】
■日時:12月17日(土)19:00~20:30
■会場:ウィルあいちセミナールーム6(名古屋市東区上竪杉町1)
【東京・千代田区】
■日時:12月18日(日)13:00~15:00
■会場:アクセア半蔵門貸会議室第1会議室(東京都千代田区隼町2-13 US半蔵門ビル5F)
【宮城・仙台市】
■日時:12月21日(水)13:00~15:00
■会場:貸し会議室PARM-CITY 131 4H (仙台市青葉区一番町3-1-16)
【北海道・札幌市】
■日時:12月22日(木)13:30~15:30
■会場:札幌市教育文化会館研修室402 (札幌市中央区北1条西13)
【福岡・福岡市】
■日時:12月25日(日)13:30~15:30
■会場:新光ビル 2F・B室 (福岡市中央区天神4-4-24)
【沖縄・那覇市】
■日時:12月26日(月)18:45~20:30
■会場:沖縄県総合福祉センター401研修室(那覇市首里石嶺町4-373-1)
<お問い合わせ先>
ワンネスグループ奈良オフィス
電話:0745-24-7766(月~金 10:00~17:00)
メール:info@oneness-g.com
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