治療共同体『アミティ』とは?

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アメリカ・アリゾナ州に拠点がある依存症回復の理想郷とも言われている施設です。自身も薬物依存からの経験を持つナヤ・アービターさんが1980年代より活動を始め、ロッド・マレンさん と共働運営をしています。活動の中で依存症を罹っている方がともに生活をする中で、回復のノウハウをバトンのように受け渡し、お互いがお互いを癒し支えていく「治療共同体モデル(TC)」を確立しました。さまざまな依存症からの社会復帰を支援するとともに、質の高いプログラムを生み出しています。

ワンネス財団とは2010年にグループスタッフが研修に訪れ、深い感銘を受けたことから、関係性が深まり、2016年までに5回、約70名のスタッフが来訪し、学びを深めています。アミティの卓越した依存症回復のためのプログラムを、精神性を保ったまま、日本の文化に即した形に最適化し、ワンネス財団のクライアントの皆さまに提供するとともに、クライアントとスタッフが理想の治療共同体を作り続けています。

アミティ治療共同体代表よりメッセージ

ロッド・マレンさん&ナヤ・アービターさん

ワンネス財団が真の治療共同体になるために、協力し続けることをお約束いたします。

ワンネス財団が、10周年の節目を迎えられたことを心からお祝い申し上げます。ナヤ・アービターと私は数年前にいくつかのトレーニングを行うため、ワンネス財団から日本に招待されました。それ以来、多くのワンネススタッフが私たちのもとを訪ねてくれ、トレーニングを積極的に受けてくれています。ナヤと私は40年以上に渡り、ティーチング&セラピューティック・コミュニティ(学び・治療の共同体)の分野にかかわってきました。ワンネス財団が真の治療共同体体制を目指すお手伝いができることをうれしく思っています。私たちは行動学的問題を抱える個人や家族へのサービス提供には、治療共同体(TC)がもっとも効果的だと考えています。TCモデルを活かすことで、人生を変革し、自分自身や他者をどのように信頼するかを学びます。またポジティブで強力な社会関係を形成し、行動に責任を持ち、自尊心を保っていくことが可能になります。今後もワンネス財団が真の治療共同体になるというゴールを達成し、日本の他の組織を勇気づけられるように協力し続けたいと思っています。

アミティのカリキュラム・シノプシス(概要)
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アミティの豊富なカリキュラムの中から、主なものをご紹介します。ワンネス財団ではこれらのカリキュラムを学び、クライアントへ正しく提供するための技術を身に着けるとともに、よりわかりやすく伝えられるよう開発と最適化に励んでいます。

オリエンテーション

受講生に共同体を、特定のTCの参加のための規範と基本的な期待という点から紹介します。成功した回復のプロセスの例となる男性や女性からの「希望の手紙」を含む。小グループによるエクササイズは、向社会的なピア(仲間の)グループの土台を作る。主な目的は、参加者に変化と回復のプロセスの「バイイン(賛同者)」を作り出すことです。

初心者のためのサークル

受講生にグループサークルに参加する前に、脅威を与えない形で、エンカウンターグループの基本理論を紹介します。それが参加者の中にエンカウンターグループのための共通言語を定義します。グループサークルを物理的にどのように設定するのかを説明し、物理的および感情的なクライメート(環境)、集団構成のガイドラインを説明します。グループプロセスの誠実さ、そして究極的にその成功は、受講生が充分に参加し、適切に貢献しようとする意欲にかかっています。このカリキュラムは、お互いから学びながら個人が個性を開発できる、積極的で成長のモチベーションのあるグループサークルのプロセスの段階を設定しています。

解決のパラダイムの起源

パラダイム、パラダイム・シフト、パラダイムの麻痺というコンセプトを、最初は一般的に、それから個人の回復にあてはめて探究します。それぞれの参加者は、本人の依存症と犯罪と回復のプロセスに関する自らのパラダイム・シフトを検討し、チャレンジし、経験しなければなりません。依存症への社会的な態度に影響を与える一連のパラダイム・シフトとして、自助の断酒運動が紹介される。参加者がTCを卒業してもその後で12ステップノコミュニティーからの支援を得ることができるように、彼らが12ステップとTCのモダリティーのポジティブな関係性を理解することが絶対必要です。

治療共同体の基本的な前提(vol.1)

受講生たちに、個人的というよりは公的、見物人というよりは参加者、排斥よりは内包、という共同体の「基本」が紹介されます。その他のコンセプトに含まれるのは、役割よりは仕事、コミュニティの文脈の中の既得の権威よりは、個人的な権威の関係性です。このカリキュラムで確立される規範が、向社会的行動や、健全なピアグループ、よき市民性を開発する土台となります。

始まり:ファミリーダイナミックス(家族力学)

現在のソーシャルスキル(社会的技能)(とその不足)が、人格形成された時期に、社会環境という文脈の中で、どのように形成され発達したかを考察する内省的なプロセスを始めることを意図しています。このモジュールを通してのテーマは、各人が自分の周りの社会的な影響の合成物だということです。個人には、代々引き継がれたパターンを受け入れるか拒否する能力があるが、それは確認して初めてできることです。

「自分よりも若い世代に肯定的な影響を及ぼす選択の、コントロールを握っているのは自分自身だ」というコンセプトを受講生に紹介することを意図している。アリス・ミラーの作品を考察し、パーソナライズ(個人のものとすること)された逸話のメッセージが作られます。参加者たちはロールモデルや先生やその他の社会的な影響(肯定的なものも否定的なものも)を確認します。意図しているのは現在の行動や選択を見逃すことではなく、意思決定に影響を及ぼす要因を意識にのぼらせることです。

恨み、合理化、抵抗、反応と忍耐

個人的およびグローバルな合理化(例、熱帯雨林の破壊)を探求し、抵抗の肯定的および否定的な利用法を確認します。マルコムX、チコ・メンデス、ヘンリー・デビッド・ソロー、カンジーなどの、人生での、彼らの肯定的な表明、社会への彼らの貢献を研究しました。人格形成という視点から、忍耐について研究されています。このカリキュラムは、エモーショナル・リテラシー(感情を理解する能力)を促進し、彼らがこの分野でのワークをさらに続けるための準備をします。

暴力と愛情のボキャブラリー

このカリキュラムは、ストレスや対立の結果の感情的な反射作用のテーマを開発します。

教材は2部に分かれています。1)対立と違反と2)和解と回復。受講生は、ストレスに対する条件づけられた反応を発達させた状況を確認し、それらを正直にはっきりと話す能力に集中します。個人的な他者への侵害を誠実に見つめ直すためには、正直さが必要条件であることに関して、エクササイズが提供されます。このカリキュラムは、各受講生の人生において、目撃者として、被害者として、侵略者として、扇動者として、暴力が果たした役割についての個人的な調査を促進します。人々が経験し、目撃し、参加した暴力は、もっとも開示するのが困難なテーマの一つであり、もし抑圧されれば行動に長く続く影響を及ぼします。受講生は、クラスの中で、瞑想と確認能力の開発を促進するエクササイズに関わります。

エマージェンス(出現)

このワークブックを利用する多くの受講生は、社会で話題になり、議論され、悪魔と見なされ、無視され、排斥され、統計に含まれ、法廷で審理され、輸送され、書類にされ、指紋をとられ、投獄され、番号を与えられ、尿検査され、毛髪検査され、測定され、観察されてきました。しばしばアディクトとは、感情的なレトリックを帯びたラベルづけです。絶望的だと宣言されたこれらの人々は、しばしば他人からつけられたラベルを、それをつけた他人と同じぐらい、自分でも信じ込んでいます。このカリキュラムは、怖れ、約束、明確さという課題を検討します。本物の自己が出現することを招いています。

心のガーデンの手入れをする

「心のガーデンの手入れをする」は、女性と男性のために書かれた、女性中心のカリキュラムです。カリキュラム全体を通して、役割の開発が強調されています。このカリキュラムは簡略な女性史の概説を提供し、過去の否定的な役割を確認して肯定的な役割の形成を促進し、受講生が性的なステレオタイプを検討するのを助けます。男性たち(その多くは娘の父親であり、女性の息子や兄弟や祖父である)にとっては、役割を逆転して、女性の視点で世界を眺めるという健全な経験です。投獄されて女性たちから切り離されている男性たちにとって、このカリキュラムは、寛大さと理解を教えるのみならず、受刑施設から出る前に、人間関係と友情を築くためのよい土台となる、よき「ゲートウエイ」プログラムです。

番号から名前に

このカリキュラムの題材は、投獄に対する現在の社会の態度、更生、リハビリテーション、変化のビジョンを持った人々の作った力強いインパクトを扱います。エクササイズが、受講生にとって、投獄された結果として発達した対処能力や習慣や態度を確認し、はっきりと発言する助けになります。このカリキュラムのゴールは、個人個人が、報復の正義の歴史を学ぶためのフォーマット(形)を作ることです。さらに、報復の正義のシステムのなかの個人史を見つめ直し話し合います。カリキュラムを通して、受講生は成長し自らの人生における受刑の影響(小宇宙)と社会における受刑の影響(大宇宙)を明確に言うことができるようになります。投獄される前の反社会的行動と、受刑者としての人生を通して盛んにあった反社会的行動を確認します。それらの行動を口にだし、自分のものとして主張した後で、タスクは解毒剤となる行動を実践するための戦略を開発することに集中し、個人も共同体も回復させる正義の方向へと彼らを導きます。

アミティの効力~再犯率低減の実績とさらなる期待

アメリカのいくつかの代表的な回復支援施設で本格的な回復支援を受けた受刑者が、一時的、または無治療の受刑者と比べて、再犯率が著しく低下していることは数字として実証されており、アメリカでは依存症回復におけるプログラムの信頼度は非常に高いです。また刑務所内でのプログラムと、出所後に行われる継続的なプログラムの両方を受けることで再犯率はさらに低下することもわかっており、依存症回復には継続的な回復支援とプログラムの受講が必要です。

R.J.ドノバンにおけるアミティ財団

アメリカのカリフォルニア州にある刑務所『R.J.ドノバン』におけるアミティのプログロムはカリフォルニア州で初めての刑務所内TCプログラムでした。このプロジェクトは、いくつかの重要なアイデアが刑務所内TCの理念に盛り込まれた事で大きな意味を持っていると言えます。それらのいくつかを挙げるとすれば、徹底した継続的なスタッフのトレーニング、元受刑者達をスタッフとしての採用する事、終身刑の受刑者をロールモデルとしてスタッフのトレーニングを担当させる事、特定のクライアントに合わせた特別なカリキュラムの採用、出所後の6カ月に渡るアミティ修了者に限った入所型のアフターケアプログラムなどです。ドノバンプログラムには200人のレベル3(既決長期重罪犯)の受刑者達が自発的に参加したものです。彼らは全員薬物依存症者、75%は暴力的重罪犯でした。彼らのほとんどが、成人になってからの半分以上の人生を刑務所の中で過ごしています。参加者の銃犯罪での平均逮捕回数は27回で、刑期を伴う有罪判決回数は平均で17回です。(これは他のどの研究よりも犯罪性の高い対象グループです。)

入寮プログラムは、刑務所プログラムと直接継続性がありアミティの回復プログラムを反映したものです。家族との生活を取り戻す事、将来の職業を視野に入れたトレーニング、求職アドバイス、就職アドバイスなどに焦点を当てています。カリフォルニアの州議 会関連の研究機関が1997年に行なった調査によると、もしアミティの薬物乱用者治療プログラムの規模を、2000年までに10,000人にまで拡大すれば、新たに必要になるとされる4700人分の刑務所の収容スペースが不必要になるだろうという結論でした。この結果の持つ意味は何でしょう?それは約200億円の州予算を使わなくて済むということであり、年間約80億円の経費の節約、司法に関わるオフィサー達の業務上の事故やストレスや職業病が減る事からくる福利厚生費の大幅な減少が期待できるということです。

調査結果 刑務所内プログラム+出所後アフターケアプログラム=サクセス!(成功)
再服役率の比較

ワンネス財団の国内刑事施設等とのつながり ~再犯防止に寄与しています~

ワンネス財団では、現在下記の刑事施設において、
薬物離脱教育やギャンブル問題教育など実施の機会を頂いています。
定期的に各施設のスタッフを派遣しています(順不同)。

● 和歌山刑務所(和歌山県)      ● 交野女子学園(大阪府)
● 播磨社会復帰促進センター(兵庫県) ● 貴船原少女苑(広島県)

全国の刑事施設様へお伺いします。
実施方法・内容などお問い合わせ頂きたくお願いいたします。

〈お問い合わせ先〉
 ワンネス財団奈良オフィス(担当:三宅 隆之 / 精神保健福祉士)
 【 Tel 】0745-24-7766   【 e-mail 】info@oneness-g.com

また、奈良・沖縄の各施設は各地の保護観察所で「自立準備ホー厶」の登録を行い、
依存が背景にあると考えられる出所者の依存脱却ならびに社会復帰支援をおこなうなど、
再犯防止(再服役防止)に寄与しています。

ワンネス財団とは

ワンネス財団は、依存症に関する国際組織である「世界治療共同体連盟」ならびに「欧州治療共同体連盟」に加盟する団体です。また、ICCE(国際アディクション専門職認定教育センター 本部:スリランカ)、IGCCB(国際問題ギャンブルカウンセラー認定委員会 本部:アメリカ)など外国の諸団体で実際に提供されている先進的なプログラムを取り入れています。

現在、一般社団法人ガーデン、一般社団法人セレニティパークジャパンを中核に、奈良、沖縄、名古屋などで依存症回復支援施設、家族の相談窓口「日本ファミリーインタベンションセンター」を運営しています。また、セミナーや講演会、各種ワークショップ開催を通して、依存症の予防啓発、早期発見・早期対処・再発防止に寄与しているほか、生きづらさへのアプローチや命を大切にするための活動を行っています。

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アミティ財団とワンネス財団

アメリカ・アリゾナ州を拠点とする依存症回復支援のための非営利団体。依存症における「治療共同体(Therapeutic Community)」という概念を生みだした、専門支援の草分け的存在であり、業界においては世界的に有名です。

ワンネス財団では、スタッフが研修に『アミティ』を訪問した2010年より関係を深め、毎年、お互いに交流を行うとともに、依存症回復における最先端のノウハウを学ばせてもらっている。

フラワーガーデンについて

アルコールや薬物、ギャンブルなど、今、依存症は社会問題として取り上げられるようになりました。

依存症に苦しむ女性も増加しています。このような社会背景を受け、2014 年6月奈良県橿原市に、日本で初めて治療共同体メソッドに基づいた、女性のためのリハビリ施設『フラワーガーデン』を設立いたしました。ワンネス財団は依存症回復のエキスパート集団です。依存症から必ず回復できると確信し、スタッフや仲間が全力でサポートしています。

『フラワーガーデン』は女性スタッフを中心にした、安心できる環境であり、病気の自分をかわいそうと思うのではなく、回復の過程で女性らしさ、人間らしさを引き出して、もう一度自分を好きになれるようサポートする、愛があふれる場所です。

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