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2015.12.28

問題ギャンブルとカジノ対策を考える(7) 遠ざけるのではなく、どう向き合うか~野球賭博問題の続編~

みなさん、こんにちは。
精神保健福祉士の三宅です。

暮れも押し迫り、この一年に思いをはせる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
ギャンブル関連では、IR法案の今後の展開が気になり、また、成人年齢の引き下げにともなう公営レースの制限年齢引き下げ検討(後に結論見送り)というニュース、直近ではパチンコ釘の話しも取り上げられました。
今回取り上げたいのは、10月に明るみに出た野球賭博問題です。

東京スポーツが、その後の話しとして以下の記事を載せています。
http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/487977/

日本野球機構(NPB)内の委員会で再発防止策がまとめられ、問題の発端となった巨人は自主的に秋季キャンプ中のゴルフ、パチンコ、マージャン全面禁止にしたとのこと。ゴルフまでも・・・。賭けの対象にしやすいからなのか、それとも日本シリーズに出られなかった選手への引き締めのつもりなのか・・・それとも・・・?

同じ事を繰り返さないため一律禁止をしてしまうのは、周囲から見て分かりやすいアクションです。法律家を交えて違法・合法ギャンブルの線引きについて話のあったチームもあったと報道されています。がしかし、実際の効果はどうでしょうか?違法賭博に元々手を出していない人も居ますし、適度にギャンブルとつき合えている人もいます。違法賭博に手を染めている人はこれを機にキッパリと止めるでしょうか?

「初めはギャンブルをコントロールしてやっていた。しかし、ちょっとずつ物足りなくなってきたときに知り合いからレートの高いギャンブルを教えてもらった。最初はおそるおそるだったけど、普通のギャンブルより刺激的で勝ちも大きいので、どんどんハマっていった。ギャンブルの事ばかり考え、借金も増えた。」
これは、依存症者支援を行う中、度々出会ったケース例です。

もちろん、違法・合法の線引きをキチンと考えて、あやしい事には手を出さないというレクチャーは必要です。しかし、上記のように依存症が進行するなかで、合法→違法という流れをたどるるケースも見られます。そのような人に道徳的な観点からものを言ってもあまり効果は無いと考えますし、そもそも違法だと分かっていながらも止められないという事も考えられます。

どうしてそこまで、刺激が必要だったのか?
どうしてそこまで、お金をつぎ込まなくてはならなかったのか?
違法と分かりながら続ける中で得ようとしていたものは?

単なる説教やレクチャーでは解決が難しいことであり、この部分に問題ギャンブル対策の考えを取り入れる事が必要だと考えます。

問題を遠ざけようとするのではなく、正しく理解し、適切に関わる。
これは、スポーツ界だけの話ではなく、一般的な企業にも同様の事が言えます。

ワンネスグループでは、すでに企業に対して問題ギャンブル対策のみならず、薬物乱用防止や飲酒運転防止などの「企業における依存症対策」の導入を働きかけ、各所から講演のご依頼も頂くようになりました。

スライド1

従来は、「大人なんだから、そこは本人の問題で・・・」とされてきたでしょう。
しかし、従業員の依存や乱用から派生する事件や事故が増え、いままで考えられなかったような問題も起こり、雇用主が謝罪や賠償する場面も多く見られます。

教育も大切ですが、もう一歩踏み込んだ依存症対策、問題ギャンブル対策が必要です。