治療的司法「裁判を生き直しの場に」

第1回「菅原先生、ダイバージョンって何ですか?」

2016年3月22日 コメントする

今回から始まりますブログ『治療的司法「裁判を生き直しの場に」』。

ワンネスダイバージョンセンター代表の弁護士、菅原直美先生に登場頂き、「治療的司法」や「ダイバージョン」といった日頃耳慣れない・・・けれども依存からの回復の大きなきっかけともなる、これらの取り組みについて、ワンネスグループのスタッフが毎回インタビューします!

第一回の聞き手は、フラワーガーデンのオーバーヘイム容子です。

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■菅原先生こんにちは。ブログの初回ですので、まずは自己紹介をお願いします。

みなさま、こんにちは。私は奈良県橿原市で弁護士をしております、菅原直美です。私は主に離婚などご家族の問題と、刑事事件に力を入れて取り組んでいる弁護士です。

また、「治療的司法」という、司法の中で「癒し」や「回復」を目指す考え方があるのですが、その治療的司法の研究と実践も行っています。

 

■菅原先生が立ち上げられたダイバージョンセンターって、どんなところなんですか?

ひと言でいうと、依存症で苦しむご本人やご家族を、司法の側から手助けする場所、でしょうか。例えば、覚せい剤を使って逮捕されてしまった方の弁護活動や、ギャンブル依存症から多額の借金を背負ってしまった方への法的アドバイスなどを行なっています。

 

■そのような取り組みを、ワンネスグループの中で始められたきっかけはなんですか?

私が修習生(弁護士になる前の研修生)だった頃に、奈良弁護士会の企画で、ワンネスグループの施設のひとつである『ガーデン』という施設を見学に行ったんです。

『ガーデン』は薬物依存症の方の回復施設なのですが、私はそれまで、そのような施設に行ったことがなかったので、暗いんじゃないかな、とかちょっと怖い人が多いんじゃないかなとか、マイナスのイメージを持っていたんですよね。

でも、実際に『ガーデン』に行って、真っ先に私の目に飛び込んできたのは、入所されている皆さんの明るい笑顔でした。皆さんが笑顔で「こんにちは!」と挨拶をしてくださるので、私は偏見を持っていたことをすごく恥ずかしく思いました。

その後、いろんな形で施設の利用者の方やスタッフの方とお話をしたり、支援をしたりしていく中で、ワンネスのみなさまの笑顔のために、私も何か新しい挑戦をしてみたいと思うようになったんです。

そのことを代表の矢澤さんにお話したところ「ダイバージョンという取り組みをやってみないか。」とお誘いを頂き、思い切ってダイバージョンセンターを立ち上げました。

 

■ダイバージョン、というのはどんなものなんですか?

簡単に説明すると、例えば覚せい剤使用のように、日本では刑事処罰の対象とされる依存症者に対しても、刑罰ではなく、治療や支援によって再犯を防止しよう、という考え方です。日本ではまだ耳なじみにない言葉ですが、海外では例えばアメリカのドラッグコート(薬物依存症者を対象とした専門の裁判)のように、広く行なわれているんですよ。

これを日本でどう実践するか、というと、執行猶予、という言葉を聞かれたことがある方も多いと思いますが、裁判を受けてもすぐに刑務所に行かず、刑務所に行くことを数年間猶予して、その間に必要な治療や支援を受け、依存症者が回復することで再犯を防止することができるんです。この制度を活用できないか、と考えて日々弁護活動に取り組んでいます。

また、本年の6月からは刑の一部執行猶予(裁判で刑務所に行かなければならないと定められた期間のうち、その一部の執行を猶予される制度)という新しい制度も始まります。この制度はダイバージョンの考え方になじむものと私は思っておりますので、この制度を積極的に活用することで、ダイバージョンの考え方がまた広く知られて、理解して頂けるようになるのではと期待しています。

■そうなんですね!次は具体的な活動についてお伺いさせてください。


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菅原先生、ありがとうございました!
おだやかな表情の中に、再犯防止の手段としてダイバージョンを拡げてゆきたいと、
情熱をお持ちの先生。今後も具体的な話を伺っていきます!

ワンネスダイバージョンセンターのURLは、こちらです。
http://www.oneness-diversion.com/

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