治療的司法「裁判を生き直しの場に」

第3回「菅原先生、先日の大阪高裁での判決についてお話を聞かせてください。」

2016年9月26日 コメントする

ワンネスダイバージョンセンター センター長の菅原直美弁護士にご登場いただくブログ、
『治療的司法「裁判を生き直しの場に」』。

今回は、先日(9月21日)に大阪高等裁判所で出された判決について、GARDENプログラムスタッフの酢谷映人がインタビューしました。

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酢谷)菅原先生、こんにちは。今月21日に大阪高等裁判所で出された判決についてお話を聞かせてください。この裁判は、ワンネスグループの施設に入所されている方の裁判で、菅原先生が弁護人を勤められたんですよね。

菅原)エイトさん、こんにちは。そうです、私と大阪パブリック法律事務所の髙山巌弁護士が共同で受任させていただき、大阪地方裁判所で再度の執行猶予判決を受け、検察官から控訴された事件で、今月21日に検察官の控訴が棄却されました。
再度の執行猶予という判決は、一度執行猶予になった方が、執行猶予中に罪を犯してしまった場合に、もう一度執行猶予になるというものです。覚せい剤を自分で使ったという事案で、この再度の猶予が認められるのは1万件に1件ほどの割合なので、とても意味がある判決をいただくことができました。

酢谷)そうなんですね!私もスタッフとして、大阪地方裁判所での裁判当初から一緒に準備していましたが、再度の猶予を得ることができたのはどうしてですか?

菅原)ひとことでいうと、「全員野球」のようにみんなが一つになって頑張れたことでしょうか。
まず、ご本人のご家族が、ワンネスのホームページから問い合わせをして、すぐにガーデンに繋がりましたよね。そのあとはスタッフの方が親身にご本人をサポートしてくださり、ガーデンでの生活やプログラムの内容を裁判官に見てもらえるように映像にまとめてくださいました。また、エイトさんやスタッフの國澤直樹さんが法廷でご本人の回復やプログラムの意味について具体的に証言してくださいましたよね。

また何より毎回傍聴席をクライアントや家族会のみなさまが埋めてくださり、法廷そのものが『ワンネス色』に染まっていたのもとても印象的でした。
このように、依存症ってなんだろう?どうやったら回復できるんだろう?というところを丁寧に裁判官に伝えることができ、大阪地裁で再度の猶予判決をいただけたのだと思います。

酢谷)私も法廷で証言したときはとても責任を感じ、ご本人の回復のために精一杯お話しさせていただきました。再度の猶予判決が言い渡されたとき、法廷全体がどよめいた、あの感動は忘れられません。大阪高裁ではどうでしたか?

菅原)検察官から控訴という不服申し立てが出され、舞台は大阪高裁に移りましたよね。ここでも、ご本人の回復のために、何とか再度の猶予を維持したいというみんなの想いを強く感じていました。そして、依存症の専門医としてとても権威のある松本俊彦医師に、すばらしい意見書を書いていただくことができました。この意見書では、ワンネスのプログラムが依存物質を『やめつづける』ためのプログラムとして水準が高いものであることや、スタッフのファシリテーター能力の高さを具体的に記載していただきましたよね。

また、大阪高裁ではワンネスグループの代表、矢澤さんも法廷でグループの実績やご本人の回復についてお話してくださいました。最後には、ご本人と確執のあったお父親が、ご本人の良い変化を法廷で証言してくださったのもとても印象的でした。

検察官の控訴は認められる確率が高いのですが、今回はこのような控訴審での活動がさらに評価され、検察側の控訴が棄却され、再度の執行猶予が維持されました。
弁護士として、このようなとてもうれしい結果を2回も経験できることはとても珍しいです。協力してくださったスタッフのみなさまや、ご家族、そして何よりがんばり続けていらっしゃるご本人に心から感謝しています。

酢谷)大阪高裁でも、法廷に入りきらない人がでるほど、仲間たちが応援していましたよね。私たちも、私たちの活動が法廷という公の場で認められてとてもうれしかったです。貴重な経験をありがとうございました。

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菅原先生、今回もありがとうございました!
本人を含めた全員が精一杯取り組んだ結果の「再度の猶予判決」。
この判決やそれまでの過程は、私たちスタッフにとっても大きな学びとなりました。

ワンネスダイバージョンセンターのURLは、こちらです。
http://www.oneness-diversion.com/

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