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2015.10.19

回復への道は遠かった~親子で悪循環から抜け出した記録~ 佐々ケイ(第一回)

私は依存症家族の第二世代
10年以上も前、依存症家族の先輩から本・雑誌・冊子など10数冊をもらいました。そのうちの1冊は「アルコール症と暮らす」という1986年に医師が書いた本でした。

この先輩は、70~80年代に夫の飲酒に苦しみつつも、地域に自助組織の会を育てていった、依存症家族の第一世代だと思っています。その恩恵にあやかった私は第二世代であり、現在、インターネットで自助グループにアクセスして参加する人たちは、第三世代といえるでしょう。

第二世代の私は自助グループに出会うのも、共依存という言葉を知るのにも、ずいぶんと時間がかかりました。息子が1歳、娘が4歳のとき、私は離婚をして実家に帰ってきました。高齢の母が家事と子育てを引き受けて私を支えてくれました。

私の仕事は競争が激しく、また景気の変動を受けやすい広告制作でして、外でのストレスを抱えたまま帰宅するので、家庭内は安らぎの場ではありませんでした。中学生になった娘から「母さんがいない方が家の中が静かでいい」と言われたものです。
救いは子どもたちの叔父、叔母が隣家にいて見守ってくれたことです。

 

 

否認は家族にも
20歳代になった息子から「僕、アル中や」と聞かされた時のこと。
「ウソ!」と私は信じようとしませんでした。「家族も否認の病」ということでしょうか。年月が進むにつれ、息子の症状はだんだんと疑わしくなっていきました。

近くの病院から専門クリニックを紹介され、そこで息子は依存症と診断されました。ところが、「酒を止めない」という息子に医師から「止めない限り治療のしようがない」とされ、折角のチャンスは生かされなかったのです。

何とか手がかりの欲しかった私は、市民だよりに酒害相談会の案内があるのを見つけました。受付に座っていた家族会員を通じて、やっと、私は自助グループにつながることができたのでした。

親子共々、自助グループに出会うまで年月を費やし、共依存から抜け出せずに、親は余計な手助けをしたり、あるいは親子で喧嘩をして、回復の邪魔をするという、悪循環の日々を送っていました。

今年クリーン4年を迎えた息子には、よくぞ、ここまで来てくれたと感謝せずにはいられません。が、一方で、私自身はどのようにして回復できたのか、よくわかっていないようです。

それを次回から辿ってみることにします。

(つづく)