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- 私たちにも助けが必要だった~依存症問題を抱えたご家族の物語~
2015.11.09
回復への道は遠かった~親子で悪循環から抜け出した記録~ 佐々ケイ(第二回)
「死ぬのやったら勝手に死ね」
深夜、玄関ドアをたたく音がするので開くと、警官2人が息子を支えて立っていました。
「四つ角で寝ていた。もう一歩ですよ。インターチェンジへ抜ける道だから」。
このとき、警官は自助組織のあることを教えてくれましたが、私はあいまいな返事をしていました。また、救急病院へ迎えにいった時のことですが、入り口を出ると、いきなり息子は車道へふらふらと入っていくではありませんか。私は必死で腕を掴んで、引き戻したか、渡り切ったか、記憶が曖昧です。体の横をすり抜けるヘッドライトが映像のように残っているだけです。
最近「心の掃除」と題した10年前のノートが出てきました。「飲み過ぎを責めたい気持ちと、責めないようにするには…」「目がへばりつきすぎ」という文字が並んでいて、驚くほど同じことの繰り返しが書いてありました。「親子が一緒に暮らすことが良くない」とは気が付いていました。それを、息子も察していて東京へ出ていきました。
いつも、しかめっ面でいる私を心配して、友人が誘ってくれたのが新興宗教でした。教義は理屈に合わないし、矛盾があっても飲み込むしかないと、自分に言い聞かせていましたが、あとから考えると、心に残る言葉をもらっていました。
ある日、東京にいる息子から電話があって「これから死ぬ」というのです。私はひかり号に駆け込みました。車内から携帯で息子に声をかけ続ける……。教会の会長に電話で相談する……。必死でした。会長から「死ぬのやったら勝手に死ね!」という答えが返ってきました。共依存の混乱状態にあった私の背中をピシャリと叩いてくれたのです。
案の定、池袋に着くと息子は素知らぬ顔で立っていました。自助グループに繋がる数年前のことです。試行錯誤の日々を送っていた私でしたが、教会を退会した後でも「死ぬのやったら勝手に死ね」は、折りにふれて思い出していました。
その後、くっきりと目に見えるように、共依存について語ってくれる人に会い、私が変わるきっかけとなりました。
(つづく)
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