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- 私たちにも助けが必要だった~依存症問題を抱えたご家族の物語~
2016.01.19
回復への道は遠かった~親子で悪循環から抜け出した記録~ 佐々ケイ(第三回)
「ぐるぐる巻きの毛糸」
私はクリニックの相談室にいました。臨床心理士から共依存とはどういうものか、くっきりと教えてもらった日のことです。
東京で会社員をしている息子が「飲酒で欠勤」云々と、臨床心理士にクドクドと説明していると、「もつれた毛糸玉」に例えて話してくれました。
「ここにもつれた毛糸の玉があります。これがお母さんと息子さんの状態です。強く引っ張ると、一層もつれていきます。糸は1本1本少しずつほぐしていくしかないのです」。
「手も口も出さない。相手の言動にすぐ反応してしまわないで、ちょっと待ちましょう。カネが無くなれば親に言えばよい、というパターンが出来ています。本人の問題に入り込みすぎている。本人も懸命に生きようとしているのです。お母さんに出来ることは、祈ることだけです」。
家に帰った私は、古い毛糸玉を取り出して、亡き母の裁縫箱から、大きな和裁ばさみを見つけて、毛糸玉をスパッと2つに裁ち切りました。母も孫に随分と世話焼きをしていましたから、一緒に共依存から抜け出そうと思ったのです。これを棚においていつでも目につくようにしました。
その後、毎週、クリニックの家族教室へ通うようになって、親である私に負担がかかりすぎていることに気が付きました。
まず「以前と同じような生活の仕方は止めよう」と決めて、あせらず・あわてず・求めず・走らずを自分に言い聞かせました。
「警察へ息子を迎えに行かない」ですが、夜中、警察から息子を保護しているという電話がかかってきても、理由をつけて「迎えに行けないから、朝、自分で帰ってくるように」と答えることにしました。さらに、「飲酒の後始末はしない。物をなくしても助けを出さない。壊したらそのままにしておく。片付けない」などを始めてみました。
こうして、共依存の糸を引っ張らないで、ゆるゆるにしておき、相手に任せる、立ち入りすぎない、と決めたのです。
そして、気が付いたのは、「なあんだ。何にもしなくてもよいのだ!」です。ところが、「何もしない」でいるには、いつも通りの慣れきった”自分の考え癖”を変えることですから、大変難しいものでした。
(つづく)
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