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- 私たちにも助けが必要だった~依存症問題を抱えたご家族の物語~
2016.05.03
回復への道は遠かった~親子で悪循環から抜け出した記録~ 佐々ケイ(第五回)
「もう不正直はヤメ」
ある夜、警察から「息子さんを迎えにくるように」との電話です。何とかして病院につながってほしい私は、警察に事情を話し、待ってもらうことにしました。翌朝、自助グループの先輩夫妻に協力を頼んで、一緒に警察に行き、息子を乗せた車でクリニックへと走ってもらいました。やっと入院先が決まりまして、翌日、また、先輩夫妻の車で病院へと2時間くらい走りました。
先輩も私も、筋書き通り進むように必死でしたが、本人は多分、こちらの策略をわかった上で抵抗しなかったのでしょう。
ところが1週間たつと「仕事が気になる。ここから脱走する」と言うのです。「それなら申し出て退院した方が良い」と私は答えました。仕組んだ罠はやっぱりダメでした。力を貸してくれた先輩に申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、退院後も病院の家族教室に通い続けることが精一杯でした。
その後、自助グループの例会で聞き覚えのある声がして、横を見ると息子が座っているではありませんか。びっくりしました。そして、後日「AAに行ってきます」のメモが置かれてあったことも。変化の兆しだったのでしょうか。
「飲酒を何とかしてほしい」と思うあまり、相手を動かすためのシナリオをつくる~、すぐ見抜かれる~。
これを繰り返すうちに、依存症の人は、自他の心の動きに敏感で、こちらの逃げや、不正直が通用しないことを思い知りました。もう、こんな辻褄合わせのウソは言うまい。そう決めると心が軽くなるようでした。
それに、辻褄合わせをするために、手筈を考えたり、動き回ったりすると、やたらと忙しくなるのですね。(笑)
(つづく)
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